5月19日に、東京都大田区萩中集会所に於いて
聞こえにくい、聞こえないろう者、難聴者を対象にした「AKEUMI BLS 講習会」が開催されました。
BLSとは、「Basic Life Support」の略称で、心肺停止または呼吸停止に対する一次救命措置のことです。
この度、(一社)Japan Water Patrol 代表理事と(一社)沖縄ライフセービング協会代表理事を務める 音野 太志(おとの たいし)氏を講師に、さらにデフライフセーバーとして活動し、日本で初めて、聴覚障がい者としてBLSインストラクター資格を取得した 横手 奈都紀(よこて なつき)氏を助手として迎えて、30名の聴覚障がいをもつ受講生のみを対象として初めての講習会を開催することができました。
健聴者であっても難しい内容ではあるものの、音野氏による、視覚的にわかりやすく要点をまとめたスライドを見て、音声文字変換アプリを用いながらの説明と、同時に横手氏による的確な手話通訳により、聴覚障がいがあっても、しっかりと内容を理解することができました。
心肺蘇生の座学では、「命を助ける」「命を守る」「生きる」とはどういうことなのか、私たちが救命措置を行う目的とは何なのかを深く考え、救命措置に対するしっかりした目的と意識をもつことの重要さを認識しました。また、呼吸が停止してからすぐに措置を始めるべき理由や、救命措置を行う際の注意点など、すべてにおいて「なぜやるのか」という目的を確認しながら講義を受けました。
時々、音野氏のユーモアを交え、全員が講義内容をしっかり考えながら参加できるようにと設けられた質問タイムでは、聴覚障がいを持つ人によってさまざまな聞こえ方の特性を持っていることから、ホワイトボードを使用し、視覚的に全員が質問の内容と回答者の発言を共有できるように配慮され、全員が取り残されることなく理解できる講義となりました。
文語体だけでは伝わりにくい表現は、横手氏により、なめらかで的確な手話表現にて通訳され、手話を主言語とする参加者へもしっかりと伝わった様子でした。
そして実技においては基本的な措置方法の習得はさることながら、聴覚障がい者が音声の情報なしに適切な処置を行えるためのコツや、健聴者が行うことを音声に頼らないように置き換えた方法をも学びました。
「胸骨圧迫」においては、禁忌事項も確認し、全員がお互いに協力してリズムをとりながら練習を行いました。続いて「人工呼吸法」「AED操作」を習得しました。
特に「AED操作」は普段触れる機会がなかなかありません。
「AED」がアナウンスしている内容が資料にまとめられ、確認することができ、さらには実際に操作することもできたため、受講者にとっては大変貴重な経験になったのではないでしょうか。
最後には、「道端に倒れている意識不明者を発見した場合の救命措置」を想定して、流れに沿って実践しました。
横手氏によるデモンストレーションは、対象者発見から措置までの流れが的確に再現され、また機敏な動作を目の当たりにして、受講者もしっかりと習得しようと真剣な様子が大変印象的でした。
そして実際に発見した状況から実践し、グループごとに、お互いに学んだことを確認・教えあいながら実技に取り組んでいました。
聴覚障がいがあってもできる方法があることを知り、全員が「自分にも救える命があるかもしれない」「救命措置を行う目的とは何なのか」「救命措置は迷っていないで、やらなければいけない」「命の尊さ」「命を大切にする社会」を強く意識付られ、勇気と自信につながったと感じる講習会でした。
最後に、この日のために、200枚以上ものスライドを作成し、資料をまとめ、様々な工夫と配慮をしていただき、大変わかりやすく、記憶に残り印象付けられる講義・指導をしてくださった音野氏と、一緒に指導をしながら、スムーズで迷いのない手話表現で、ろう者にも伝わる通訳をしてくださった横手氏、さらに、今回の講習会開催にあたりご理解とご協力をいただきました、
「一般社団法人Japan Water Patrol」 様、
「一般社団法人 沖縄ライフセービング協会」 様へ
一般社団法人 陽けたら海へ一同、心より感謝を込めて、お礼申し上げます。